「剣道と居合は何が違うの?」
*前置き*
タイトルでは
『剣道』と『居合』
と、簡単に書いたものの
居合、と一言で言っても
「制定」と「古流」があり
それを一緒くたにするのも、また微妙に違ってくる…
という考えもあって。
ここでは、わたしが修練している
古流の刀法を比較対象にします。
また
剣道と一言で言っても、
その在り方は 時代により変化があるのですが
(昔は、竹刀を落としたら組み討ち、なんていうこともあったと聞きます)
あくまで、
現在、一般に普及している剣道のかたちを念頭に
説明してみます。
*
さて☆
まず、居合・剣道ともに
理念として、
『刀法と心構えを大事にする』
ことは共通しています。
剣道は、“刀”ではなく“竹刀”を用いますが
竹刀とは、刀の代わりです。
「実戦的な刀の扱い方でもって竹刀を扱う」
という前提があり、
それをもとに、
「一本!」という有効打突であるか否かが、判断されます。
(当たっていればいい、というわけではないんですね^^)
また、剣道の段位認定には試合のほか
木刀を以って行う 形(カタ)の審査があります。
ここにも、
「単なる打ち合いに終わらず、刀法としての根本を失わないこと」
とする意味合いが感じられます。
その上で、のことなのですが
やはり試合においては
刀とは 重さも形状も違う、竹刀が用いられ
かつ
決められたルールの中で、いかに勝つか
ということが重要視されることから
実際の刀の扱い方(刀を以って人体を的確に斬る)と、まったく同じにはなるべくもなく
「剣道は剣道」として、
独特のスタイルとなっています。
(もちろん、
動体視力や俊敏性、間合いを読むこと、精神性など、
双方に共通する、養うべき資質はありますが。^-^ )
剣道と居合には
多くの違いがあります。
差異が生じる要因を、ざっくり挙げれば
・競技性の有無
・刀で「斬る」と、竹刀で「打つ」
なのですが
その違いを
具体的に追っていきたいと思います!
*
<競技性による差異> については、
「古武道には試合がない?」の記事にまとめましたので、
詳細は割愛します。
(たとえば 具体的に、剣道のルールについて記せば
打突部位は、面・胴・小手・突き。
打突方法も決まっています。
古流には、
小手を下から切り上げたりするような技もありますが
剣道では禁止です。
スポーツにはスポーツとしてのルールがありますから、
刀法の全てを駆使するわけにはいきませんよね。)
次の違い。
<鞘の有無>
そう、剣道には
一目瞭然、鞘がありませんね。
刀でいうなら、
すでに鞘から抜いて、相対しているところからはじまります。
居合は
鞘に納めているところからはじまりますから、
鞘からの“抜刀”から“納刀”までが当然含まれるのです。
次に
身体操作の違いとして
<腰・重心>
剣道は
歩幅を狭く取り、腰・重心が高いです。
対する相手が、正面の一人のみですから
前後左右への対応という観点は必要ないこと、
そして 瞬発的に先に“打ち取る”ことが重要になるからです。
居合は
反対に、腰を据えます。
敵は前後左右 数名を想定しているため
自在に動ける下半身が肝要であり、
また「竹刀の重さで、打つ」ではなく「刀の重さで、斬る」場合
下半身から安定していることが不可欠だからです。
また腰が変われば、足運びも変わってきますね^^
<構え>にも違いがあります。
剣道は
試合において、[中段の構え]が取られます。
竹刀の先の延長線上が、相手の喉の位置にあたる構えですね。
居合は
様々な構え方があります。
なかでも
刀を、相手の方に差し向けるようなかたちをとるケースは…
…それほど多くはないはず。
(構え自体はもちろんありますが、状況として、です。)
実際 刀で相対してみると、わりと危い体勢だと感じられます。
おいそれとは、刀を前に出せなくなる。
そうそう
剣道ではよく
鍔迫り合い(つばぜりあい)がありますね。
刀では、ほぼ有りえないはず
…と言い切るのも難しいけれど
少なくとも、
剣道の鍔迫り合いの体勢で、こう着状態になることは
ないはず。
そもそも
カチャンカチャンと何度も刀をぶつけ合って攻防するような戦う
(殺陣でよく見られるような)シチュエーション自体にも
ならないんですよね(^-^;)
実際の勝負は、一刀で決してしまうことがほとんどかと思います。
また別の観点に移りますと
<相手の有無>
剣道においては
実際の相手と対戦するため、勝敗は明確に突きつけられます。
言い逃れもできない世界ですよね。
試合があるからこそ味わえる、
実戦の機微というものも養われていくのだと思います。
居合の場合は
仮想敵となります。
なので
業としては、必殺である実戦的な形をとっているものの…
いかにも“やっている気”になりやすいというか、
自己満足の世界になりやすい、というか…
かたちとしては古来から継承はしているものの
いつのまにやら表面的な形式のみに陥りやすい、
という側面は…あります。
書いているわたし自身が、
精進せねばならぬ点ですよ…!
*
・・・具体的な違いは
こんなところでしょうか > <
色々と、比較例を挙げましたが
おそらくは
剣道においても、高段者であるほどに
刀の理合いにも精通していらっしゃるのだと思います。
競技性と合わせて、両面を
鍛錬され続けていらっしゃるのではないかと思います
わたし自身は
中学時代、剣道部員で
曽祖父は、剣道の先生でした。
剣道と居合、どちらにも馴染みがありますよ〜^^
* * *
2016.5 過去ブログより編集・転載した記事です
0コメント